日本は破綻する? (後編)
昨日のブログ 日本は破綻するか (前編) - 永遠の旅人日記 で、
財政破綻と呼ばれているものには二種類あって、日本は、デフォールト(=返済不能)にはならないと書きました。
このように、過去分はなんとか返済(ほとんどは借り換え)出来ますが、新規分は、話しが異なります。
新規発行分の国債が売れなくなる、というパターン2の破綻が起こるかどうかは、ちょっと俗な言い方ですが、「自分のケツを自分で拭き続けられるかどうか」にかかっています。
長くなりそうなので、先に結論を書いておきます
このパターン2の破綻は起こりえます
その結果は、大幅なインフレと 金利の上昇です
以下はその理由です
これまで誰が国債を購入?
- これまでの1000兆円は、その95%が、日本国内で調達
- 購入者は、銀行を始めとする、生保、郵貯など金融機関
- その源資は、金融資産額1400兆円といわれる、皆さんの貯金や生命保険の掛け金
- ここ20年間不景気で、貸出先がありませんから、銀行は皆さんの預貯金でせっせと国債を購入
毎年50兆円近い赤字の「自分のケツ」を「自分で拭き続ける」ためには、毎年50兆円を国内で新たに調達し続ける必要があります。
今後も、年間50兆円のペースで皆さんの預貯金が増え続ければ、新規分の赤字国債も無事国内で消化されることになります。
日本人の貯蓄率の推移
そこで、日本人の貯蓄率の動向を見ましょう
東洋経済オンライン
驚くべきことに、世界でも最高レベルだった日本人の貯蓄率は下がり続けており、昨年は、ついにマイナスです。
他国と比較しても日本の低下だけ目立っています。これは、明らかに、年金生活に入った団塊世代以上の人が、生活のために、預貯金を取り崩し始めたことによります。
国債の買い手がいなければ、金利を上げて販売せざるをえず、それが大幅だった場合、金利の低い既発国債の魅力が下がりますから、既存国債価格が暴落します。
それらを大量に抱えている金融機関は、多額の評価損を計上することになり、倒産するケースもあり得ます。
日銀の出番
そこで日銀の出番です。日銀は、お札を刷れますから、理屈上は幾らでも買い入れられますが、日銀は既に270兆円もの国債を買い入れています。もう限界でないか、と誰しもが思うレベルです。
ということは、市中にお金がだぶつき始めている、ということです。
経済活動が変わらないのに、市中に出回るお札が急増すれば、インフレになり、金利も上がります。物価が10%あがっている時、金利1%で悠長に貯金する人はいないからです。
黒田総裁が2%のインフレを目指しているにも拘らず、原油価格の暴落もあって今のところインフレはまだ起きていません。
今の金利は、史上最低レベルで、これ以上下がる余地がない位です。下記は過去30年間の金利の推移です、いかに今が異常かわかると思います。
従って、国民の金融資産からみても、日銀の状況からみても、毎年50兆円の新しい国債を国内で消化し続けるのは、限界になりつつある、と思います。
ということは、そう遠くない将来の、インフレ、と、金利高がやってきます。
実は、インフレは、政府にとって、願ってもない状況なのです。
インフレと言っても物価が何百倍にもなるハイパーインフレにする必要はありません。2倍で充分です。
インフレで全ての物価が2倍になれば、GNPが1000兆円と倍増し、借金は、定額の1000兆円のままなので、国の借金は実質半額になります。
これが1000兆円の借金を”返済”する、唯一無二の対策です。
国としては、これでメテタシメテタシですが、勿論デメリットもあります。
インフレのデメリット
皆さんの貯金・金融資産も、額は変わりませんが、物価が2倍になりますから、預金の価値は、実質半額に目減りします。
物価の動向を良く観察しておくことが必要です