永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

英国運河の旅

今日はガラッと趣向を変え、私が経験した、ちょっとユニークな「英国運河の旅」をご紹介しよう

ナローボート

場所はイギリス中部
運河はナローボートというボートに乗って旅するのが普通だ
ナローボートとは、幅2m 長さ15m位のかなり細長いボート

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キャンピング・トレーラーのボート版と言ったら良いだろうか
中で数人が寝泊まりできる
ベッド以外に、キッチン、トイレ、シャワーも完備

通常は、3ー4日または、一週間レンタルするが、中には、ナローボートの生活が気に入って、家屋敷を売り払い、自家用ナローボートを購入してノンビリ旅をしながら生活している老夫婦もいる

運行は、日の出から日の入り まで
運転に免許は不要だが、スピードはせいぜい時速4-6Km
エンジンの出力を数段階で調整しながら舵をとる
舵の操作は、船体が長いためちょっと慣れがいる、が大したことではない
飲酒運転OK!  昼間からビールを飲み、だべりながら運転できるのが楽しい

運河

川ではなく、幅3-5メートル程度の運河を進む
英国には、今でも総延長3500Kmの運河が張り巡らされている
運河なので高低差はなく、川のような「流れ」はない
高低差は、「ロック」 で調整する

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ロックの原理的には、パナマ運河と同じ
上記写真の、手前の大きなレバーと奥に見えるレバーの横が水門になっており、船体をその間に入れる
ロックの前後で、水面の高さが違う。片側から入り、水を入れる(水面の高い方に進む場合)か水を抜く(低い方に進む場合)かして、水面を上げ下げして、反対側から出る。両側の水門は大きなレバーを人力で押して開閉する
水を入れたり抜いたりするから、ひとつのロックを抜けるのに20分位はかかるが、気にしない

山と山の間の谷を抜ける際、ロックを使うと何連ものロックになり作業が大変である、そんな場合には思い切って橋をかけその上に水路を造る。
高さ36mポントカサステ・アクアダクトは、そうして出来たもっとも有名な水路。世界遺産になっている。

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(余談だが、実は日本にも同じような水路がある。琵琶湖疎水だ。京都南禅寺水路閣は頭上を通っている)、

スローライフ

時速4-6Kmなので、運河の旅はとにかくスローライフ
周りの景色や、小鳥の鳴き声を楽しみながら、超ゆっくり進む。
ランチ・給水・ロック作業の時間等を引くと、1日に20Kmも進めば十分。マラソンランナーが1時間で走る距離だ。
横には歩道があるので、飽きたら誰かに運転をまかせ、自分は歩道を歩いても良い。兎に角、時速4Kmなので置いていかれる心配はない
道路を横切る場所には跳ね橋がかかっている。誰かが クランクを回して跳ね橋を上げ、ボートを通す。

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夕食はパブで

夕方になって目的の街についたら、ボートを停泊。スーパーでちょっと買い出しをして、洗い物をコインランドリーに放り込み、どの街にもあるパブで一杯やりながら夕食、というのが典型的なパターン。

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英国のカントリー・サイドは本当にどこも絵のような美しさ

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徒歩10分程度のボートに戻って就寝。朝は、ボートのキッチンで調理。

石炭輸送用から観光用へ

ナローボートは、もともと産業革命後、石炭を運ぶために作られた
当時は、馬が牽いたので、その名残として運河の横には必ず歩道がある
トラックや鉄道が発達して一旦廃れたが、戦後、観光用として復活した
壊れかけた運河も次々と修繕され、今では全長3500Kmが航行可能となっている。
6人乗りを8月に4泊5日でレンタルして20万円位。一人一泊一万円だ。高くはないだろう。

興味を持たれた方は


ナローボートで旅する者にとってはバイブルのような本だ
具体的なノウハウは全て書かれている

自然と触れ合いながら、英国の美しい田園風景をのんびりと楽しみたい方々には超おすすめの旅である。
但し、数名の仲の良い友達でグループを作る必要がある。

Bon Voyage !