永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

茶事の醍醐味

茶事

昔、懐石料理を習っていたことがある。茶事の真似事もした。
その時、茶事の醍醐味は、「無言の思い遣り、無言の感謝」ではないかと思った。

茶事は、本来は、

  • 炭手前
  • 懐石
  • 中立ち
  • 濃茶
  • 薄茶

と、全部で四時間程度かかるが、
私たちが良くやったのは、懐石と薄茶だけの簡略版だ。それでも雰囲気はわかる。

亭主のやること

亭主(主催者)は、客数名を選定し、時間を指定して招待する
さらに、季節と、客の年齢や好みに配慮し、メニューを考え、走り回って(馳走の語源)最高の食材を調達・調理し、茶庭を整え、掛け軸や茶花、道具の選定に心を砕く。

ポイントは、亭主は客を喜ばそうと、趣向を凝らし多大な時間をかけて準備するが、当日に、その苦労の跡は見せない
一方、客は庭や掛け軸を見、お料理・お茶を頂きながら、いかに亭主が手間暇をかけ、心配りをしてくれているか、を理解し深く感謝するが、別に言葉多く謝辞を述べるわけではない。
この、「無言の思い遣り、無言の感謝」こそ、究極のコミュニケーションであり茶事の醍醐味ではないか

こういう事ができるのは、亭主も客も教養があるからである
いくら、良い道具を出しても、その良さが客にわかってもらえなければ、出し甲斐がないだろう。
いくら珍しい食材を揃えてもそれを評価出来る客でなければおもしろくない。

昔は、このようにレベルの高い遊びが行なわれていたのである。
しかもエコである。使うのは手間暇だけだ。

エネルギー不足が懸念されている現在、エネルギー多消費型のレジャーから、このように知的で奥が深くECOな遊びを見直す時ではないだろうか?

おまけ

茶事には、さらに、季節、時間帯を変えた遊び方もある
暁の茶事・・・真冬の朝、寒くて暗い中、厳粛に(準備する側はもっと大変)
朝の茶事・・・夏の早朝、気持ち良い時間帯に
夜咄(よばなし)・・秋・冬の日没後にロウソクを立て夜長を楽しむ

昔の人は、こんな風に風情を楽しんだのですね。
文明の進んだ現代と、どちらが幸せなんだろう?