永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

アルゼンチンタンゴの魅力

はじめに

私は、アルゼンチンタンゴが好きだ。唯一の趣味と言っても良い。10年ほど続けている。
アルゼンチンタンゴの魅力を知るために、私が理想とするカップルの踊りを是非見て欲しい (約3分)  このカップルは既に別れてしまったが、今から10年ほど前、彼等の絶頂期の映像である。

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大抵のひとは、アルゼンチンタンゴは、派手で情熱的な踊り」という先入観を持っていると思うが、それは「ショータンゴ」というプロの世界の話。

一般の人が踊るタンゴは、先の動画のように

  • 上半身を密着させて
  • 音楽に合わせた足さばきで
  • 2人で音楽を共有することを楽しむ  踊りだ。

アルゼンチンタンゴのはじまり

アルゼンチンタンゴは、今から150年ほど前、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスではじまった。当時アルゼンチンは大いに繁栄しており、ブエノスアイレスは、南米のパリと呼ばれていたほどである。

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イタリアやスペインからの移民が大勢おり、最初彼等の間に広まったのが、アルゼンチンタンゴであった。

ヨーロッパに逆輸出

それらの曲とダンスが移民ルートを遡って、ヨーロッパに伝わり、ヨーロッパで大ブームを引き起こした。(1900年頃)
一時は、ローマ法王からタンゴ禁止令が出されたこともある位流行ったらしい。

その結果、ヨーロッパの作曲家が多くのタンゴを作曲した。
「碧空」「真珠とりのタンゴ」「ジェラシー」などなど数々の名曲があり、これらは一括して「コンチネンタルタンゴ」と呼ばれている。
バンドネオン主体の「アルゼンチンタンゴ」とは異なり、アルフレッド・ハウゼのようなビッグバンドで演奏されるのが特徴である。

タンゴダンスもヨーロッパに伝えられてから大きく変容し、社交ダンスの中の1種目として取り入れられた。例の首を激しく振る踊りである。

音楽としてのアルゼンチンタンゴ

で、本題のアルゼンチンタンゴの魅力だが、タンゴ音楽としては、バンドネオンが主体で、恵まれない環境の移民が故郷を思う切なさ、哀愁が表現されているものが多い。たくさんある曲の中でも、「ラ・クンパルシータ」「エルチョクロ」「ジーラジーラ」「バンドネオンの嘆き」などが特に有名である。


アルゼンチンタンゴ ダンス

先ほどのカップルの踊りのように、胸を密着して踊る。言い換えれば、外国人が挨拶する時によくする「ハグの姿勢のまま抱き合って踊る」のがアルゼンチンタンゴである。

顔をできるだけ離して踊る社交のタンゴとは、似て非なるダンスと言っていい。

ハグに慣れていない大和撫子にとってアルゼンチンタンゴは、ちょっとハードルが高く、尻込みする日本女性は多い。

タンゴは世界的にはブームだが、多分そのせいで、日本における愛好者の数は、社交ダンスの数十分の一程度と少ない。

一方、タンゴを踊る女性の半数程度は、外国語が堪能である。もちろん英語が主だが、スペイン語やイタリア語を話す人も少なくない。最初は、その「外国語を流暢に話す率の高さ」を「不思議だなぁ」と思って見ていたが、暫くして、その理由に気がついた。

先に述べたように、ハグに慣れていない大和撫子にタンゴはハードルが高いが、逆に言えば、
タンゴに入りやすい=ハグに慣れている=インターナショナル性向が強い=外国語に堪能
という図式が成り立つようだ。

実際、タンゴを踊る女性で、海外で暮らした事がある、とか、外資系企業に勤めている人、は多い。

無言のコミュニケーション

社交ダンスでは、全てのステップが登録され踊り方が詳細に定められているので、「いかに正確に踊るか」が究極の目的となる。

アルゼンチンタンゴは、その辺が南米らしく極めてアバウト。正確に踊ることが目的ではない。ステップも社交より遥かに自由で無数と言って良い位ある。

大事なことは、曲を良く聴くことだ。
その曲の曲想、センティメント(哀愁) に合わせて、男が自由にステップを選択し、女がそれに自在に応える。「遊び足」と言って、男性のリードを邪魔しない程度に女性が自在に足先で遊ぶことも許されている。

先のデモをもう一度見返してみると、女性があちこちで「遊んでいる」ことがわかるだろう。

この、音楽を共有しながら、踊りを通して「自由自在な無言のコミュニケーション」を行うことにこそタンゴの醍醐味があると、私は思う。

以前、茶事に関するブログでも書いたが、無言のコミュニケーションが上手く出来た時ほど満足度の高いものはない。

茶事の醍醐味 - 永遠の旅人日記

最後に

私の好きな動画をもうひとつ紹介したい(4分)。 私だけが好きなわけではないようで、世界中で300万回近く視聴されている。
皆さんが、タンゴに対してお持ちのイメージは、このようなものではないだろうか?
この作者の美意識は素晴らしい。背景に流れる、Assasin's Tango 「暗殺者のタンゴ」という曲の選択も良い。

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