ベンチャー・キャピタルという所
はじめに
皆さんも、もしかしたら起業するかもしれません。
そして、もしかしたら、資金調達のために、ベンチャー・キャピタル (VC) の門を叩くかも知れません。
私は、かつてVCに勤めていましたので、VCを訪ねる前に最低限知っておくべきことをひとつだけ、お話しします。
VCの性格
VCを野球選手に例えると、VCはイチローのように、コツコツと、シングルヒットを集めて打率を上げるバッターではなく、バットをブンブン振り回して、大抵は三振だが、当たればホームラン、というタイプの選手です。
ここを間違えて、イチローのような企画をもちこんだら、門前払い確実です。
結論
で、先に結論です。
VCに、投資すれば、2-3倍になって戻ってくる、という案件をもちこんでも、ダメです。
少なくとも10倍、できれば100倍というプロジェクトでないと、スタフの目を引きません。
それだけ当たれば大きいという案件でなければ検討の俎上にも乗らない、ということだけは最低限覚えておいて下さい。
100倍と聞くと、「そんな夢みたいな話・・・」と思うかも知れませんが、自校の学生が創業した Google に投資したスタンフォード大学は、私の全くの推測ですが、1000万円が1000億円かそれ以上になった(言い換えれば1万倍以上!)位の感じではないでしょうか。
ちなみに、私の最高記録は、500倍です。
結論だけで良いかたは、ここまで。
下記はその論拠です。
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前提 1
1. VCは、ファンドの投資家に、期間10年で投資金額を2倍にして返す目標を約束。
2. VCの経費として、毎年、ファンド全体額の3-4%を7年間使う権利を同時にゲット。
ということは、100億円集めたうちの約25%=25億円程度を、10年間にVCの給与などの運営経費として使ってしまうということです。
従って、投資に回せる金額は残った75億円で、それを10年間で、当初集めた100億円の2倍の200億円に増やす、というのがVCの仕事になります。
前提 2
次に、投資のリターンに関する前提を置きます。
1. 投資した金額のうち、三分の一(具体的には25億円) は、投資先が破綻してしまい、戻って来る金額は、ゼロ。
2. 次の三分の一(25億円) は、破綻はしなかったが、投資した元本程度(25億円)しか戻って来ない。
ここまでで、50億円投資して、戻ってくる金は25億円だけです。
ということは、最後の三分の一(25億円) が大当たりしてくれないと困ります。
具体的には、最終的に必要な200億円のうち、まだ25億円しかメドがついていないわけですから、最後の25億円は、200億円-25億円 =175億円に化けてくれないと困る訳です。
25億円が大当たりして175億円になる、ということは、7倍になって戻ってくることを期待する、ということです。
投資する段階では、どの案件が当たるかは皆目わかりませんから、VCの担当者としては、当たれば最低7倍になりそうな案件でないと、投資できないということになります。
これが、VC 担当者の目を引くには、少なくとも10倍出来れば100倍と先に書いた論拠です。