永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

そこまでやるか!  ザッポス伝説

ザッポス

米国で、サービスの素晴らしい会社というと、ディズニーランド、リッツ・カールトン・ホテルに加えて、ザッポスが挙げられる。

日本では、ほとんど知られていないが、米国では誰でも知っている超有名企業だ。

トニー・シェイという、アジア系アメリカ人の若者が創業した「靴のネット通販」の会社である。
10年間で売り上げを全くのゼロから1300億円に急成長させたあと、アマゾンに約1300億円で売却されたことでも有名。

365日間返品可能。何回でも何足でも返品可能。返品時の送料無料。

伝説的なストーリー

サービスで有名な会社には、どこにも伝説的なストーリーがある。

ザッポスで言えば、

普通の会社は、電話番号はワザとわかりにくい場所に表示してあり、いくら電話しても常にお話中の所がほとんどで、電話をとってもオペレーターは、何分以内にすますように、という指導を受けていることが多い。
ザッポスにはそれがない。電話番号はデカデカと表示されているし、時間制限なしに、顧客の相談に乗る。
最長記録は、なんと一通話7時間半。

顧客が求めた靴が自社にない場合、ザッポスのコールセンターのオペレーターは、他社のサイトを最低3社検索し、探している靴がみつかれば、それを顧客に伝える。

ある老婦人が亡くなった。亡くなる直前にザッポスに注文した靴が履かないまま残された。娘さんが事情を話したら、無料返品用のダンボールと、お悔やみの花まで届いた。

ある時、ザッポスの社長以下が取引先と飲んで居て夜遅くなった。誰かが、ヒザを食べたいと言い出したが、近くになさそう。ザッポスに電話してみようとなり、実際に電話したら、オペレーターが親切にその時間に頼める宅配ピザを5軒探してくれた。

感動を呼ぶサービス

このように、顧客が感動するのは、常識を越えて、そこまでやるか!という様なサービスを受けた時だ。
感動した顧客は、その後もロイヤリティの高いリピート客になってくれる。

ザッポスの経営理念

こうした感動的な話が生まれる裏には、ザッポスの経営理念がある。

創業者、トニー・シェイによれば、

  • 私たちは、サービスを売っています。たまに、靴も売ります。
  • 私たちは、広告宣伝にお金を使うかわりに、顧客サービスに投資します。 だから、 コールセンターにコストがかかっても、返品時の送料を無料にしても構わないのです。

社内への徹底

顧客へのサービスを社内に徹底させるには、十分な教育が必要だ。

ザッポスでは、入社すると、4週間の新人研修がある。

トニー・シェイによれば、
新しく入社してきた人たちに対して、われわれがまず念を押すのは、
「われわれの目的は、モノを売るこ とではなく」 目指しているのは、「友人のように親身になり、お客様の急場を救うこと」
このように、「マインドセットを 180度転換してください」と促します。

ザッポスには、10のコアバリューという、社訓のようなものがあるが、その一番は、
サービスを通して、あっと驚くWao!体験を届ける というものである。

だが、特にユニークなのは、
この研修期間中に退社すると、無条件に2000ドル(25万円)貰えるのだ。
私も、最初この話しには、びっくりした。
要は、ちょっとした金銭に惹かれる人はいらない。
心からザッポスで働きたい人だけ来て欲しい、ということだ。
ここまで企業文化を大切にする会社を、私は他に知らない。

御参考

この会社の創業者トニー・シェイが書いた本が

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか

顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか


9歳にして、ミミズの養殖でおこずかいを稼ごうとし、この時は、ミミズに逃げられ大失敗。中学時代には、写真をシャツにつける缶バッジにするビシネスで毎月2万円稼いでいた、という。
栴檀は、双葉より芳し
を地で行くような話だが、その成長していく様子が興味深い。

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