創業6年半で企業価値6兆5000億円の米国ベンチャー (後編)
はじめに
本稿は、昨日のブログの続き(後編)なので、昨日分(前編)をご覧になっていない方は、是非そちらをを先にご覧ください。
Uberの今後の課題
前編では、「誰でもハイヤー営業を始められる」というシステムを武器に、Uber社が脅威の成長を遂げている、と述べた。
当然ながら、世界各地で、既得権益を侵されるタクシー業界とUber、あるいは、地方自治体とUber社の間で訴訟が起きている。
しかし、カリフォルニア州をはじめアメリカの大都市の多くでは、いくつかの条件付きではあるが、Uberは合法になっている。
競合
大したプログラムではないので、Lyft社やSidecar社などの競合も増えている。
しかし、Uberには、なんといっても先発の利がある。知名度、アプリの成熟度、囲いこんだドライバーの数など。ドライバーの数が多ければ、オーダーを受けた際の現地への到着時間も早くなり有利だ。
日本では
実は、既に日本にも進出しているが、鳴かず飛ばず。
2015年2月には、福岡市で、「みんなのUber」のテストが企画されたが、国土交通省から「自家用車による運送サービスは白タク行為に当たる」としてサービスを中止するよう指導され、あえなく中止。
Uberは、自家用車によるハイヤー業務が革命的。それが規制で禁止されれば、ちょっと出来の良い迎車システムに過ぎない。
日本は、規制王国
日本では、役所が業界を守る、という意識が強く、消費者を向いていない。
その証拠に、あるタクシー会社が、「値下げをしたい」といっても認められず、実質、全社一律のカルテル料金だ。
安倍首相は、日本の岩盤規制を突き崩す、と言っているが、口だけで、実績はゼロに等しい。どうでも良い規制を解除しているだけ。
このように、日本で革命的なビジネスが誕生しない最大の理由は、日本のがんじ絡めの規制だ。
国民の問題
しかし、これは、日本国民の問題でもある。自己責任の意識が低く、タマタマ酷い目に逢うと、お上がちゃんと規制しないから、とお上の所為にするので、益々規制がはびこる。
そういう規制下では、Uberや AirBnB (後述) などの革命的で新しい産業は起こり得ない。
宿泊業界にも
実は、米国には、似たコンセプトでAirBnB という会社もある。
空いている部屋をネットを通じて貸し出す、というサービスだ。
Uberの半年前に同じSFに設立された。
192カ国の3万以上の都市で100万以上の宿を提供し、延1000万人以上宿泊の実績がある。
こちらも既に100億ドル(1兆3000億円)の時価総額になっている。
日本のサイトwww.airbnb.jp
日本では「旅館業法」などの法律との関係が微妙だ。
本家のAirBnBは、レンタル内容が大きく広がり、とても面白いので、後日詳しく紹介したい。
シェアリングエコノミー元年
UberやAirBnB の話を突き詰めると、必要な時、必要な場所で、車や宿が手に入れば所有する必要はない、という話になる。
しかも、ネットとスマフォ、GPSの発達がそれを大きく後押ししている。
2015年は、こうしたシェアリングエコノミーサービス元年と言われている。ネットが始まってから25年。シェアリングエコノミーは、今後のひとつの巨大な動きになろうとしている。
車メーカーにも打撃?
そう考えると、広い意味では車メーカーも今がピークかも知れない。最近の若者にとって、もはや車はステータスでなくなった。シェアして必要な時だけ借りるなり、呼ぶなりすれば良い。
先日のブログでは、郊外のマンションの駐車場不足問題を取り上げたが、今は都心のマンションで駐車場の借り手がいなくて困っている。
規制緩和と成長戦略
安倍首相は、お札を刷って300兆円の国債を買い込むことと、公共事業に金をつぎむだけで、まともな成長戦略は何一つやっていない。
規制緩和に本気で取り組み、革命的なビジネスが日本でも成立するような、成長戦略を是非実現して欲しい、と思う。
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参考にしたサイト
Behind Uber's soaring value - Fortune
http://www.businessnewsline.com/news/201507020953410000.html
http://www.businessnewsline.com/news/201507020953410000.html