下流老人
最近話題になっている「下流老人」を読んだ。
- 作者: 藤田孝典
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2015/06/12
- メディア: 新書
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下流老人とは
- 収入が少ない。 収入のほとんどが年金だが、充分な額ではない。
- 貯蓄が少ないうえ、年金だけでは足りず毎月赤字なので、多少の貯蓄があっても数年で食いつぶしてしまう。
- 家族や親族など、頼れる人がいない。
その結果、憲法で保証している、「健康で文化的な生活」を送れず悲惨な生活を余儀なくされている人が多数。
中流のハズがいつの間にか下流になってしまうパターン
無計画で放蕩な暮らしをしていた人々ばかりが下流老人になっているわけでは無い。ごく普通の中流の人が下記のようなきっかけで、簡単に下流になってしまう。
事態は、今後さらに悪化する可能性大
65歳以上の一人暮らし800万人
- 国の財政難で、年金額が減る。
- 子供と暮らす、という習慣が減る
- 企業の福利厚生、ボーナス、退職金の消失
- 全体の40%を占める、非正規雇用者が老人になると年金額が圧倒的に不足
- 未婚率の増加。 家族や身寄りのない人の増加
著者の主張
一定数の貧困層ができるのは、資本主義の宿命だから、困っている人は、一律に助けるべき。
お金は、取れる層から徴収することで所得の再分配機能を高め・・・
私の意見
著者は、下流老人の世話を12年やっており、その人たちの悲惨さを最も身近に感じているのだか、全員を助けたい、という気持ちは良くわかる。
しかし、1000兆円もの借金をかかえ、毎年1兆円ずつ増える社会保障費でアップアップしている日本にお金がないのは明らか。
富裕層から取る、という議論は乱暴過ぎる。
日本は、米国にくらべば、富裕層は少ないし、所得税の最高税率は75%と高い。相続税も高い。
援助を必要とする下流老人が増えるとしたら、いかに、効率的に低コストで、健康で文化的な生活を送れるようにするか だと思う。
いいかえれば、今の年金額でなんとかやりくり出来る様にコストダウンを考えるべきで、そのための手伝いを国がすべき。
例えば、下流老人向けの、無料低額宿泊所、が貧困ビジネスになっている。
低額で釣って、生活保護を申請させ、実は高額の施設利用料で生活保護費の大半を取り上げるビジネスだ。
こんなあくどい商法を跋扈させているのは国の責任。
老人にとって一番大きいコストは住居費だから、こうした低額の宿泊施設こそ、国がやるべき仕事だと思う。
仕事をしていない老人が、わざわざコストの高い都会で生活する必要はない。
あちこちに、バラバラに住んでいるより、まとまって住んでいたほうが、看護師も、ソーシャルワーカーも、医者も効率が良くなる。
特別養護老人施設は立派すぎる。立派なるが故に少数しか建設できず、何十万人が何年も待っている、という現状がある。
一部を手厚く保護するのではなく、多少ボロくても良いから、多数を助けられる施設を都会から離れて建設すべき、と思う。
そしてそれは、役所ではなく、民間に経営を委託すべきだろう。役所の外郭団体がまた一つ増えるようでは最悪だ。