永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

ゼロベースで考えるのは簡単ではない

ゼロベース

ゼロベースで考える、とは、先入観念や既成概念にとらわれず、幅広く発想することだ。
大成功している商品はゼロベースで考えたものが多い。
しかしこれほど言うは易く行うに難しいものはない。
というのは、
ひとが「既成概念の枠」を「枠」と認識していないことだ。

目の前に見えている枠を取り払うことはできるが、
無意識に自分にはめている「見えない枠」は取り外すのがやっかいだ。
それを証明するための、簡単なクイズがある。

8枚の金貨

8枚の金貨があり、見た目は一緒
一枚だけ軽い偽の金貨が混じっていることがわかっている
両天秤を用いて、偽の金貨を特定するためにはどうすれば良いか?
但し、両天秤を使う回数は、できるだけ少なくしたい。
最少、何回で偽物を特定できるか?

ヒント

最少回数は 2回
3回と答えた方は、無意識の既成概念の枠 から抜け出せていないでいる。

既成概念を打ち破った例

先に述べた様に、うまく既成概念を破った発想ができれば大ヒットにつながる可能性がある。

セブン銀行のATM

コンビニにATMを置くことは従来から大手銀行がさんざん検討してきたが、その答えは「採算に合わない」であった。
ところがセブン銀行は、見事に採算に乗せた。
大手銀行が見積もったATMの見積額は1台 1000万円 これでは採算に合わない。
対してセブン銀行の見積もりは1台300万円
既成概念の違いだ。

銀行マンにとってのATMは人を置き換えるもの。
銀行の第一列にいる女性ができることは全部できなくてはならない。
流通業者であるセブンは、この銀行マンの既成概念にとらわれなかった。
通帳はなくてもよい 小銭は扱えなくても千円単位のお札が扱えればよい。
という割り切りができた。 
だから1台300万円で済み、採算に乗せることができた。

スピード社の水着

オリンピックで世界記録を連発した水着である。
これは、体に馴染む着易い=良い水着 という先入観念を打ち破っている。
それまで、日本での水着の素材は、体にフィットし動きやすい=ニット素材 だった。
スピード社は素材をニットから織物に変えた。
男性下着のシャツはニット ワイシャツは織物である。
これにより、スピード社の水着は着るのに30分もかかるが、重さも半分、浮力も大きくなり、選手の体型も整えられるようになり、世界記録連発につながった。

ダイソン社の羽根のない扇風機

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不思議な格好をしている。
誰もが、どこから風が来るんだろう、と思う。
最初にアレを発想したひとは凄い。
種明かしは簡単。
実は胴体の円柱部分にちゃんと羽根があり風を作っている。
それが見えない場所に格納されているだけ。
円柱部分で出来た風が、上部の「輪っか」の内部に送り込まれ、その「輪っか」に付けられた細いスリットから前方方向に風が吹き出している。
でもこのちょっと複雑なメカをものにしたDyson社の技術も凄い。

ゼロベースを実践するには

このように、物事をゼロベースで考えることは非常によいことだが、先に述べたように実践はなかなか難しい。

  • 何かを決めるとき、常に 自分は既成概念、先入観念、過去の経験 にとらわれていないか? と唱える
  • ある会社では、営業が顧客に、「こういう物はできないか?」と聞かれたら、間髪いれず「できます!」と答えることにしているそうだ。これは非常に良い方法だと思う。できるかできないか、と考えると、すぐ過去の経験、既成概念にひっぱられて、出来ない という答えになってしまう。営業が「できます」と答えてしまったら、「やるっきゃない」ので、必ずできる、という前提でものを考え始める。そこで初めて「既成概念を超えた答え」がいろいろ発想できる。

クイズの答え

8枚の金貨
最初に 4枚と4枚に分ける、のが既成概念。
正解は、最初にわざと2枚余らせ、3枚と3枚を両天秤に乗せる。
軽い3枚がわかったら、次は1枚ずつ両天秤に。
3枚3枚がつりあったら、偽物は残りの2枚の内の1枚。
で、いずれにせよ 2回の試行で偽物が見つかる。