永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

日本ユニセフ協会を巡る「怪」

はじめに

一部では有名な話の様だが、
ユニセフ東京事務所 と
日本ユニセフ協会
は、全く別な団体だそうだ。
前者はニューヨーク本部直轄の国際機関事務所
後者は、日本国内の財団法人。
私も、つい最近まで知らなかった。

しかも、黒柳徹子氏は前者の「ユニセフ親善大使」
アグネス・チャン氏は後者の「財団法人日本ユニセフ協会大使」
と、異常に紛らわしい。

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この両者について、最近、ネットが騒がしい。

ネット上が騒がしい理由

  • 黒柳徹子さんは、私の口座に送金してくれれば、経費を抜くことなく、100%ユニセフに寄付しますよ、と公言している。
  • 一方、日本ユニセフ協会は、人件費や経費など最大25%の経費を差し引いた上で、残りをユニセフに送金する仕組み。
  • 日本ユニセフ協会の役員には、もと高級官僚が何人もいて、天下り団体の匂いがする。
  • 最近、アグネス・チャンが「ユニセフと、日本ユニセフ協会は同じですよ」と発言したことに対し、「全く別の団体を、同じと言うなんておかしい」と、アグネス、バッシングが起きている。

ネットの大勢

ネット上では、

  • アグネスは嘘つきだ。
  • ユニセフ協会が25%も経費を中抜きするなら、直接、黒柳徹子さんの口座に寄付金を送金すべき。
  • 東日本大震災発生後、、ウェブサイトで緊急募金を呼びかけたが、その告知には、「当緊急・復興支援に必要な資金を上回るご協力をいただいた場合には、ユニセフが実施する他国・地域での紛争・自然災害などによる緊急・復興支援に活用させていただくことがあります」という但し書きがあり、「これでは“ユ偽フ”じゃないか」などと批判が殺到した。
  • オカルト嫌いの大槻教授が、最初はHPでユニセフ協会を責めていたのに、いつの間にかその記述が、HPから削除されている。きっと圧力がかかったに違いない。
  • 2ちゃんねる管理人の、ひろゆき氏が、両団体が同じなら、アグネスが黒柳徹子さんの寄付口座を公開すれば、と問うたがアグネスは沈黙。
  • 寄付金を集めている日本ユニセフ協会が、立派な自社ビルを所有しているなんておかしい。

などと、日本ユニセフ協会を責める声が圧倒的。
皆さんも、「そういえば、日本ユニセフ協会グリーティングカードのDMをうけとったことがある」と思い当たる方も多いと思う。実は私も2-3回、同協会の Unicef カードを買ったことを思い出した。

日本ユニセフ協会

ここまで読むと、皆さんも、日本ユニセフ協会ってインチキ団体に違いない、と思われるだろう。
私も、そうした先入観から「インチキ性を暴いてやろう」位の気持ちで調べ始めた。

調べた結果

  • 日本ユニセフ協会は、1950年創立の歴史ある団体。
  • このような団体は、ユニセフ公認で世界各国に一つずつある。
  • ユニセフ東京事務所は、主に日本政府、韓国政府との交渉のためにあり、寄付金受け付けの窓口ではない。
  • ユニセフ東京事務所のHPの良くある質問のページにも、「募金は東京事務所ではなく、日本ユニセフ協会の方で受け付けています」と明記してある。  UNICEF - よくあるご質問 - よくあるご質問
  • 黒柳徹子さんは、寄付金を受け付けているが、あくまても個人として窓口になっているだけ。その額は、30年間に50億円位。年間約1億5000万円。
  • 対して、ユニセフ協会を通じた寄付金は、年間140億円(約170億円集めて約30億円は経費)で、黒柳さん経由の100倍近い。これは、国別にみても世界でトップクラスの額。
  • ユニセフでは、最大25%までの経費を認めているが、日本の経費率は19%で、81%を寄付金として送金している。
  • 役員には、元役人が多いが、wikiによれば、専従者以外はボランティア。

下記は、日本ユニセフ協会のHPに記載されていた、収入の内訳。


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170億円の収入の内、160億円が募金。8億円がグリーティングカード売上。
個人が84%ですって。
募金が160億円も集まるんですねえ。
一日あたりにすると 毎日5000万円。
一人1万円とすると160万人が寄付。
ふーむ。 ちょっとビックリ。
ちなみに、「24時間テレビ」の募金額は、平均すると大体1回10億円。

以下は、支出の内訳。

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まあ、売上の2割程度の経費は普通、というか、低いですよね。Unicef という大きな名前があるからできることとは思いますが・・。

念のために、HPに掲載されている昨年末のバランスシートも見た。
大体
 流動資産 58億円 (大部分は現預金)
 固定資産 48億円 (大部分は土地建物)
 
 流動負債 49億円 (大部分は、本部拠出未払い金)
 固定負債 3 億円 (大部分退職引当金)
 正味財産 54億円 

別におかしな所はない。
現預金が大量にあるが、これは本部に拠出する予定のお金。
土地建物などの固定資産分がほぼ全部 正味財産になって50億円以上ある。、
ずいぶん金持ちの団体なんだ、という気はする。どうやってこの50億円をためたのかはよくわからないが、60年の歴史を考えれば、年間1億円以下。年間に170億円集めることを考えれば、0.5%程度。
日本ユニセフ協会の説明によると、1969年度から「会館建設積立金」を計上しており、31年間で25億円が準備できたため建設したとしている。

おわりに

今回のブログ、ユニセフ協会を巡る「怪」などと、大仰なタイトルにしたが、日本ユニセフ協会のHPに掲載されている収支報告書や、wiki の記述を読めば読むほど、「ネットから受ける先入観にとらわれてはいかん。キチンと調べてから自分の意見を述べないとあかん。」と大反省した次第。
同時に、netgeek の記事を始め、ネット上のいい加減な記事の多さにもビックリ。

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(参考にしたサイト)
(www.unicef.or.jp

日本ユニセフ協会 - Wikipedia