Tポイントカードの「怪」
はじめに
Tポイントカードの会員数は、実に5000万人という。これを提示すれば 0.5-1%の割引(ポイント)が得られる。チリも積もれば山、と思って利用している方も多いと思う。
だが、なぜ店が割引いてくれるか、ご存知ですか? 漠然と「常連だから」と思っていません?
実は、そんな甘いものではありません。
Tポイントカードの概要
もともとは、CCCが運営するビデオレンタルチェーン TSUTAYAの会員カードから発生。1業種1社制で、参加会社を募っている。有名どころでは、
ファミリーマート
ドトール
ENEOS
など、 100社以上、30万店が参加し、会員数5000万人という、巨大共通ポイントシステム。ユーザーは、これらの会員企業で買い物の度に、0.5%-1%のポイントが得られる。
割引(ポイント)と引き換えに渡しているもの
意外と知られていないようだが、このカードは、単に常連だから割引いているのではない。レジスターと連動して、皆さんの購買履歴を一品一品記録し、本社に送っているので、その代償として割引いてくれるシステムだ。
Tポイントカードを申し込む際には、住所、氏名、性別、生年月日、を記入しているはず。
従って、Tポイントカード本社のコンピュータを覗けば、貴方が何才でどこに住んでいる、いつどこのドトールでどんなコーヒーを飲んだか、どこのENEOSでどれだけ給油したか、どこのファミマでどんなお弁当を買ったかまで、Tポイントを使った全ての購買行動が詳細に記録されている。
Tポイントの商売は、購買データの販売
Tポイントは、参加企業のレジを通して収集したこれらの膨大なデータをある程度集計加工して、参加企業に販売するのが本業。
個人情報が販売されている
今、問題なのが「個人情報提供」の問題。Tポイント本社が、昨年11月より会員規約を変更、Tポイントの参加会社に会員情報の提供を始めることを発表した。これまでのように、集計加工されたデータなら問題は無い。しかし、会員情報ということは、すなわち住所・氏名などの、個人情報だ。一年前の話で、ネット上ではかなり話題になったが、5000万人の会員のうち、何人が気づいているだろう?
「個人情報がどこまで生で渡されるか?」について、Tポイント側の説明はしごく曖昧。
私の推測では、例えば、ドトールが、Tポイントから、
「20-50才の男女で、この三ヶ月に、ファミマでスタバのコーヒーを3回以上購入した人の住所・氏名リスト」
を購入して、DMを打つ位のことは、やっていると思う。
自分の個人情報が提供されることがイヤなひとは、HP上から拒否できることになってはいる。しかし
- 「第三者への個人情報提供」がデフォルト設定となっている
- 会員が、それを拒否する場合には個人ページにログインして拒否の手続きをしなければならない。
- その手続きも、約80社に上る提供先企業リストをひとつずつ手作業でチェックを外さなければならない。
- 「すべてのチェックをはずす」というボタンが、リストの先頭ではなく、一番下に置かれている、
というあたりに、その意図がミエミエだ。
おわりに
現在、マイボイントカードで、個人情報がどうのこうの、と世の中が騒しい。
しかしその一方で、既に5000万人が、1%の割引と引き換えに個人情報を売り渡して平然としているのを、どう解釈すべきなのだろうか?
全ての購買行動が記録され、そのデータが参加企業に販売されていて、気持ち悪くないのだろうか?
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(参考にしたサイト)