モンドセレクションの「怪」
はじめに
ここ10年ほど「モンドセレクション金賞受賞」などと銘打った商品を良く見かけるようになった。あまりにあちこちで見かけるので、前々から、なんか いかがわしい賞だな、と思いながらも見過ごしてきた。
今回思い立って調べてみたら、予想通り面白かったので、ご報告。
モンドセレクションの概要
- ベルギーの企業が 1961年から発行なので、50年以上の歴史がある。
- 食品及び飲料、美容及びトイレタリー製品、タバコ製品などの部門がある。
- 普通のコンペとは異なり絶対評価なので、ある一定の基準を超えた商品は、全てが受賞する。
- 100満点の90点以上で「最高金賞」以下点数に応じて、「金賞」「銀賞」「銅賞」がもらえる。
- 1商品の審査料が1000ユーロ(15万円)と非常に安価。地方の中小企業でも容易に応募出来る。
- 2015年の応募総数は 2952 商品。2595 商品が銅賞以上を受賞しているので、合格率は 88%(金賞以上は58%) 下記は、応募数の推移。
知名度
国際的には全く無名だが、日本では、良く知られている。
サントリーが「プレミアムモルツ」のテレビCMなどで「3年連続モンドセレクション最高金賞受賞」と大きく打ち出してからだ。
実際、応募の半数は日本企業らしい。ということは、年間1500商品が新たに受賞。3年間は、受賞のエンブレムを表示出来るから、現在4500商品が表示中ということになる。そこら中で見かける訳だ。
モンドセレクションが審査するもの
特記すべきは、モンドセレクションが、何を審査するかだ。
彼らのHPから引用しよう。
モンドセレクションの役割は、メーカーが宣伝広告などで主張する性質をテストするのではなく、消費者が目安とする製品の成分表やパッケージなどに嘘偽りがないかを検証することにあります。
だそうだ。
要するに、味や性能を審査するのではなく、品質表示が正しいか、を評価しているのだ。
これなら、一件15万円という価格も納得だ。
おわりに
「モンドセレクション金賞受賞」と書いてあると、「どこの賞か知らないけれど、とにかく金賞をとったのだから美味しいのだろう」と大抵の消費者は思うだろう。
しかし、実態は、品質表示にウソ偽りがないことを保証しているに過ぎない。
このギャップを利用した、巧妙な錯覚商法と言えないこともない。
メーカー側としては、15万円の審査料だけで88%の確率(金賞以上は 58%)で賞がもらえて3年間表示できるなら悪くない話だ。
別にモンドセレクション側が悪質なわけではない。応募メーカーには、消費者の錯覚を期待する向きもあるだろう。
しかし、最大の問題は、消費者が勝手に、「外国の立派そうな賞を受賞したのだから美味しいに違いない」と思い込んでしまうことだろう。
ミシェランのレストラン・ガイドがバカ売れした件でも書いたが、外国の権威に弱い日本人の性だろうか。
レストランガイド について - 永遠の旅人日記
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参考にしたサイト
モンドセレクションについて | モンドファン大集合!MONDE FAN! Navi--モンドファンナビ--