永遠の旅人日記

好奇心一杯に生きて来た人生。テーマは、女性用バイアグラから橋下徹まで、かなり広範囲。

そこまでやるか! リッツ・カールトンの凄さ

はじめに

先日のブログで、顧客サービスが突出している、靴のネット販売店ザッポスを紹介した。

そこまでやるか! ザッポス伝説 - 永遠の旅人日記

リッツ・カールトン・ホテルは、顧客サービス、という意味でザッポスより先輩だ。

といってもさほど古い会社でもない。1983年創業だから、まだ30年そこそこだが、創業して10年も経たないうちに、世界的な名声を確立した。

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まずは、サービスで売る会社特有の伝説的ストーリーから。

大阪リッツで

大阪のリッツをチェックアウトした老教授が、部屋にその晩の講演の資料と老眼鏡を忘れたことに気付いたが、新幹線は丁度名古屋を出発したところ。
FAXで送れば人目に触れる。宅急便では間に合わない。
リッツはどうしたか?
客室係が「のぞみ」に飛び乗って追いかけ、東京駅で先生に資料を手渡した。

フロリダのリッツで

フロリダ州のリッツで、夕方ビーチチェアを片付けに来たビーチ係に、ある客が「今晩ビーチでプロポーズをしたいから、チェアをひとつ残して置いて欲しい」と依頼。
そのビーチスタフは、椅子のほかにビーチテーブルもひとつ残し、真っ白なテーブルクロスを敷き、お花と冷えたシャンパンも用意。
さらに仲間に黒服を借りて着替え、手には白いクロスをかけてカップルの到着を待った。
客の要望は、ビーチチェァをひとつ、だけだったにも関わらず。

SFのリッツで

SFリッツカールトン・ホテルの入口近くに停めた車が駐車違反でレッカー車にバークレーまで持っていかれた。
地方から来た若いカップルなので「どうやってバークレーまで取りに行ったら良いかわからない」とリッツのドアマンに泣きついた。
ドアマンはベルボーイに連絡し、ちょうどシフト明けのスタフでそちら方面に帰る人を探して、ピックアップ場所まで送る手配をした。
ちなみに、駐車違反をしたカップルは、リッツの泊り客ではなかった。

リッツには、このような、伝説的ストーリーが無数にある。

リッツの凄さ

従業員に「お客様へのサービスを良くしよう」と掛け声をかけただけで、サービスが良くなるわけではない。
教育と同時に、仕組みの整備が大事。

リッツの凄いところは、こうした、顧客に感動を与えるサービスをサポートする仕組みが整っていること。

一日25万円

特筆すべきは、リッツの従業員は、顧客に最高のサービスするためなら、一日に2000ドル(25万円) まで自分の裁断で使える、という制度。
25万円とは、かなり高額だ。自分の月給に近い金額を一日に使っても良いのだ。

だから、客室係が新幹線に飛び乗り、東京まで追いかけることが可能になる。
顧客が結婚記念日と知れば、シャンパンを贈ることもできる。後で「これ経理を通るだろうか」などと心配することもない。

個人の判断を信用

こうした場合、上司の指示を仰がずに自分の判断で行動できる。
先の客室係も、上司の判断を仰がずとも自分の判断で、追いかける、と決断できるのだ。それだけ従業員を信用している、ということだろう。

部門間の風通し

また、リッツは、セクショナリズムの強い他のホテルと異なり、非常に風通しが良いようだ。自分の通常業務を離れて他のセクションの手伝いに行っても構わない。
自分が顧客のサービスのために自分の持ち場を離れる時も、気軽に後を託せる。
そして、それを補完する仕組みとして、ファーストクラス・カード、というのがある。他部門のスタッフにすごく助けられた様な時、感謝の印として、スタッフからスタッフに手渡される、と同時にそのコピーが人事にも回され、人事考課にも使われる。

メモパッド

リッツでは、従業員が常時メモ帳を持ち歩き、お客様との気軽な会話から得たお客様の好みなどの情報を、メモを介してコンピュータに入力し、従業員間でシェアしている。
ロビーでたまたま聞いた、好みのワインの情報が、夜のレストランでソムリエに活用されたりする。
好みの枕の硬さがわかれば、次回の宿泊時には、最初から好みの硬さの枕が用意される。

おわりに

今回はご紹介しなかったが、リッツには、創業以来の「クレド」と呼ばれる立派な経営理念もある。
しかし、理念とその教育だけでは足りない。
やはり、それらをサポートする具体的な「仕組み」も大事だと思う。

興味を持たれた方は。

リッツ・カールトンが大切にする サービスを超える瞬間

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